戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
 キラリと胸元で輝いたのは、小さなビードロのブローチだった。

 黄色いガラスでできたブローチは、光を反射するとまるでルーカスの瞳のように美しい光を放った。


「ありがとうございます」


 シルファは表情を綻ばせ、両手で包み込むようにブローチに触れた。


「シルファ様、準備はできましたか? ……それは」


 約束の時間ぴったりにエリオットが執務室に入ってくると、すぐにシルファの胸元に光るブローチに視線を向けた。そして眼鏡を押し上げながら、どうしてか物言いたげな視線をルーカスに向ける。


「……なんだ」

「過保護だな、と思いまして」

「うるさい」

「ん?」


 エリオットは呆れた顔をしているし、ルーカスは頬をほんのり染めながら、拗ねたように唇を尖らせている。

 シルファだけが会話についていけていない。どういうことだろう、と首を傾けていると、エリオットに「行きましょう」と声をかけられた。


「では、行ってきます」

「ああ、楽しんでくるといい」


 こうして、シルファはルーカスに見送られながら、久方ぶりに魔塔を出た。





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