眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛
(目を通すんですね……)
信用されていないわけではないのだろうけれど、ヴェルデの気が済むのであればそれでいいか、とローラは微笑んで頷いた。
「ヴェルデのローラ様への気持ちは重すぎるくらいだね。愛想を尽かされないように気をつけるんだよ」
「えっ、ローラ、俺に愛想を尽かしてるの?」
「そんな、大丈夫ですよ。慌てないでください」
「でもこのままの調子だと、流石のローラもいつか呆れてしまう時が来るんじゃないのか」
「そんな!」
クレイの揶揄いにヴェルデが困ったようにローラに縋りつき、宥めるローラを見てフェインがまたヴェルデを揶揄う。その様子を見ながらイヴとクレイは目を合わせて微笑んだ。
「……兄たちが本当にすまないことをした。ローラ嬢が無事で、全て解決して本当によかったよ。ローラ嬢、どうかお幸せに。って、俺がそんなこと言わなくても、ローラ嬢が幸せなのは決まってるんだろうけど」
イヴがローラとヴェルデを見ながらそう言うと、ヴェルデは口の端を上げて頷く。ローラはイヴの両手を取って微笑んだ。
「ありがとう、イヴ。あなたも無事で本当によかった。イヴもどうか、幸せでいてくださいね」
「ああ」
(見た目も声もエルヴィン様と瓜二つだけど、イヴはやっぱりイヴだわ。目を見て話をしてももう怖くないし、イヴにはこれからずっと幸せでいてほしい)
ローラの心の中に、暖かなものが流れ広がっていく。初めて出会った時はエルヴィン殿下が現れたのかと驚き恐怖でしかなかったが、イヴがイヴとして生きていると知ってから恐怖は無くなっていた。百年以上続くエルヴィン殿下の末裔としてのしがらみを自ら解き、ローラに対して百年前のローラではなく今現在のローラとして接してくれた。
そんなイヴだからこそ、国にいる大切な人と末永く幸せに暮らしてほしいと、ローラは心の底から思う。
「それじゃ、ヴェルデ。また」
クレイがそう言って微笑むと、クレイとクロー、イヴの兄たち、そしてイヴの足元に魔法陣が浮かび上がる。そして魔法陣の光に包まれて、クレイたちは消えた。
「俺たちも帰ろう」
ヴェルデはローラの腰に手を回して、グッと引き寄せる。その手は、まるでもう二度と離さないと言わんばかりの力強さだ。フェインがそれを見て苦笑していると、三人の足元に魔法陣の光が浮かんで、三人は消えた。
◇
光が消えていつの間にかヴェルデの部屋に戻ってきていた。部屋にはヴェルデとローラの二人だけで、フェインの姿はない。フェインの姿がないことに気づいたローラが周囲をキョロキョロと見渡すと、ヴェルデが静かに言葉を発する。
「あいつはあいつの家に転移したよ。今日はもう帰ってゆっくりした方がいい」
ヴェルデはそう言って、すぐにローラを抱きしめた。
(え、え?急に一体、どうして?)
突然のことに驚いてローラは身を捩るが、ヴェルデのローラを抱きしめる力は増すばかりだ。
「ヴェルデ様?」
信用されていないわけではないのだろうけれど、ヴェルデの気が済むのであればそれでいいか、とローラは微笑んで頷いた。
「ヴェルデのローラ様への気持ちは重すぎるくらいだね。愛想を尽かされないように気をつけるんだよ」
「えっ、ローラ、俺に愛想を尽かしてるの?」
「そんな、大丈夫ですよ。慌てないでください」
「でもこのままの調子だと、流石のローラもいつか呆れてしまう時が来るんじゃないのか」
「そんな!」
クレイの揶揄いにヴェルデが困ったようにローラに縋りつき、宥めるローラを見てフェインがまたヴェルデを揶揄う。その様子を見ながらイヴとクレイは目を合わせて微笑んだ。
「……兄たちが本当にすまないことをした。ローラ嬢が無事で、全て解決して本当によかったよ。ローラ嬢、どうかお幸せに。って、俺がそんなこと言わなくても、ローラ嬢が幸せなのは決まってるんだろうけど」
イヴがローラとヴェルデを見ながらそう言うと、ヴェルデは口の端を上げて頷く。ローラはイヴの両手を取って微笑んだ。
「ありがとう、イヴ。あなたも無事で本当によかった。イヴもどうか、幸せでいてくださいね」
「ああ」
(見た目も声もエルヴィン様と瓜二つだけど、イヴはやっぱりイヴだわ。目を見て話をしてももう怖くないし、イヴにはこれからずっと幸せでいてほしい)
ローラの心の中に、暖かなものが流れ広がっていく。初めて出会った時はエルヴィン殿下が現れたのかと驚き恐怖でしかなかったが、イヴがイヴとして生きていると知ってから恐怖は無くなっていた。百年以上続くエルヴィン殿下の末裔としてのしがらみを自ら解き、ローラに対して百年前のローラではなく今現在のローラとして接してくれた。
そんなイヴだからこそ、国にいる大切な人と末永く幸せに暮らしてほしいと、ローラは心の底から思う。
「それじゃ、ヴェルデ。また」
クレイがそう言って微笑むと、クレイとクロー、イヴの兄たち、そしてイヴの足元に魔法陣が浮かび上がる。そして魔法陣の光に包まれて、クレイたちは消えた。
「俺たちも帰ろう」
ヴェルデはローラの腰に手を回して、グッと引き寄せる。その手は、まるでもう二度と離さないと言わんばかりの力強さだ。フェインがそれを見て苦笑していると、三人の足元に魔法陣の光が浮かんで、三人は消えた。
◇
光が消えていつの間にかヴェルデの部屋に戻ってきていた。部屋にはヴェルデとローラの二人だけで、フェインの姿はない。フェインの姿がないことに気づいたローラが周囲をキョロキョロと見渡すと、ヴェルデが静かに言葉を発する。
「あいつはあいつの家に転移したよ。今日はもう帰ってゆっくりした方がいい」
ヴェルデはそう言って、すぐにローラを抱きしめた。
(え、え?急に一体、どうして?)
突然のことに驚いてローラは身を捩るが、ヴェルデのローラを抱きしめる力は増すばかりだ。
「ヴェルデ様?」