眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛
15 帰宅
「この国にはあるはずのない魔力を感じたからね。自分が追放した魔力がこの国にいるとなると、きっとロクなことではないだろうと思ったんだ。案の定だったよ。……ローラ様をこんな目に合わせてしまい、申し訳ありません。この男の元師匠として謝罪します」
そう言って深々と頭を下げるクレイを、ヴェルデとフェインは神妙な顔をして見つめていたが、ローラは慌てて両手を振る。
「クレイ様、謝らないでください。クレイ様は何も悪くありませんし、私もみんなも無事でした。クレイ様が来てくださったおかげで大事に至りませんでしたし。なのでもう面をおあげください」
ローラがそう言うと、クレイは顔を上げて悲しげに微笑んだ。
「師匠、こいつはどうするつもりですか」
ヴェルデがクローを見ながらクレイに尋ねると、クレイは厳しい目をクローに向ける。
「禁忌に手を出せば、必ず代償を払う必要がある。クローはそれを払わなければいけない。……それについて君たちに見せるにはあまりにも酷すぎるからね、私が連れて帰るよ。イヴの兄たちも国に渡して厳重に処罰してもらうから心配しなくていい。それよりもまずはあれを冥界に返さなければね」
そう言って、クレイは稲妻の鎖で繋がれたエルヴィンの魂へ視線を向ける。片手を上げると、宙に亀裂が入り、黒い空間が浮かび上がった。
「魂のことは冥界で然るべき処置をとってもらう。現世で生きている我々がどうにかできることではないからね」
そう言うと、エルヴィンの魂は黒い空間へ引き摺り込まれる。そして黒い空間は消え、そこには何も無くなった。
「さて、決着は着いた。後々の詳しいことについては追って連絡するよ。イヴは責任を持って私が転移魔法で国に送り届けよう」
クレイの言葉に、イヴがローラの顔を見た。何かを言おうとしているが、本人も何が言いたいのかよくわかっていないような複雑な顔をしている。
「別に、これが今生の別れになるわけじゃない。色々と落ち着いたら手紙でも書けばいいだろ」
「……いいのか?」
ヴェルデの提案にイヴが驚いた顔で尋ねる。ローラも少し驚いた表情でヴェルデを見つめるので、ヴェルデは苦笑した。
「ローラが嫌でないのなら俺は構わないよ。もちろんローラ宛の手紙は俺も読むし、ローラからイヴ宛への手紙も出す前に目を通すけど」
そう言って深々と頭を下げるクレイを、ヴェルデとフェインは神妙な顔をして見つめていたが、ローラは慌てて両手を振る。
「クレイ様、謝らないでください。クレイ様は何も悪くありませんし、私もみんなも無事でした。クレイ様が来てくださったおかげで大事に至りませんでしたし。なのでもう面をおあげください」
ローラがそう言うと、クレイは顔を上げて悲しげに微笑んだ。
「師匠、こいつはどうするつもりですか」
ヴェルデがクローを見ながらクレイに尋ねると、クレイは厳しい目をクローに向ける。
「禁忌に手を出せば、必ず代償を払う必要がある。クローはそれを払わなければいけない。……それについて君たちに見せるにはあまりにも酷すぎるからね、私が連れて帰るよ。イヴの兄たちも国に渡して厳重に処罰してもらうから心配しなくていい。それよりもまずはあれを冥界に返さなければね」
そう言って、クレイは稲妻の鎖で繋がれたエルヴィンの魂へ視線を向ける。片手を上げると、宙に亀裂が入り、黒い空間が浮かび上がった。
「魂のことは冥界で然るべき処置をとってもらう。現世で生きている我々がどうにかできることではないからね」
そう言うと、エルヴィンの魂は黒い空間へ引き摺り込まれる。そして黒い空間は消え、そこには何も無くなった。
「さて、決着は着いた。後々の詳しいことについては追って連絡するよ。イヴは責任を持って私が転移魔法で国に送り届けよう」
クレイの言葉に、イヴがローラの顔を見た。何かを言おうとしているが、本人も何が言いたいのかよくわかっていないような複雑な顔をしている。
「別に、これが今生の別れになるわけじゃない。色々と落ち着いたら手紙でも書けばいいだろ」
「……いいのか?」
ヴェルデの提案にイヴが驚いた顔で尋ねる。ローラも少し驚いた表情でヴェルデを見つめるので、ヴェルデは苦笑した。
「ローラが嫌でないのなら俺は構わないよ。もちろんローラ宛の手紙は俺も読むし、ローラからイヴ宛への手紙も出す前に目を通すけど」