眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛

17 独占欲

 社交パーティーの日がやってきた。ヴェルデは礼服に身を包み、ローラはヴェルデの瞳の色であるアクアマリン色のドレスを身にまとっている。ドレスは所々に銀色の刺繍とレースが施され、いつもおろされている金色の長い髪はアップにされて控えめながら上品な髪飾りがつけられていた。

「ローラ、美しいよ……本当に綺麗だ。こんな美しい姿、誰にも見せたくないな」

 支度が終わったローラを見て、ヴェルデは目を輝かせてローラに近寄る。そしてローラの腰をグイっと引き寄せて顔を近づけると、ジッとローラを見つめた。その瞳には欲がユラユラと揺らめいている。

(ヴェルデ様こそ、いつも以上に素敵で色気が増してる……!)

 いつもはラフな髪型も今回はきちんと整えられている。一緒に社交の場に行くのは二回目とはいえ、見慣れない服装、見慣れない髪型のヴェルデに心臓がドキドキと鳴りっぱなしだ。顔を真っ赤にするローラを見てヴェルデは嬉しそうに微笑む。

「可愛いね、ローラ。顔が真っ赤だよ。本当に、このままパーティーなんて行かず二人だけでいちゃいちゃしていたいな……」

 ローラの耳元にそっと囁きながら、ヴェルデは腰に当てた手でローラの体を優しく撫でる。その手つきにローラの体にはぞわぞわと言いようのない感覚が沸き上がり、ローラはさらに体温が上昇するのを感じていた。

「っ……!ヴェルデ様……だめです」
「だめ?本当に?」

 そう言ってからヴェルデはローラにキスを落とす。軽いキスを何度も何度も繰り返して、唇でローラを愛でた。

「ヴェルデ様……本当にもう……だめ、です」

 唇が離れて、はあっと悩ましげに息をつくとローラは顔を赤らめながら少し怒ったように抗議をする。

(本当に可愛い、可愛すぎて無理だ。いつもより体のラインがよくわかるし、肩も出てる。普段隠れているうなじだって今日は見えるし、すべすべな白い肌がより一層わかってしまうな。この美しいドレス姿が他の男たちの目に入ると思うと本当に我慢ならない)

 だが、ガレス殿下が絶対に来いと言っていたし、何よりも夫婦になってからは初めての社交の場だ。

「仕方ないな、行くとしよう。でも、ローラのその顔が落ち着いてからじゃないとね。あまりにも色っぽい顔だから誰にも見せられないよ。それに、リップも取れてしまったな。ごめん、直さないと」

 ヴェルデからのキスのせいで蕩けたような表情のローラを見ながら、ヴェルデは満足そうにそう言うと、ペロリと唇を舐めてからクスリと笑った。
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