眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛
21 演説
この国でヴェルデと一緒に生きていくために必要であれば、過去を公表することも厭わない。そう言ったローラの顔を、ヴェルデは両目を見開いて見つめた。
「本当に、本当にいいのか?ローラ」
「はい。もちろん、私一人の一存では決定できません。ヴェルデ様が良しとしないのであればお断りします。でも、ヴェルデ様が良いと言ってくださるのであれば、私はかまいません」
「だけど、そんなことをしたら、ローラに対して良い思いを抱かない人間が増えるかもしれない」
「でも、味方だって増えるかもしれないぞ?ローラ嬢はそれだけ魅力的だからな。それはそれで、お前にとっては違う意味で心配になるかもしれないが」
不安げなヴェルデに、ガレスが軽口を叩きながら助言する。
「私のことを良く思わない人が増えても、別にいいのです。生きていれば、良くも悪くも思われます。それでも、良く思ってくださる方々と親しくなれれば、私はそれで十分幸せです」
それに、とローラは美しい宝石のような瞳をヴェルデに向ける。
「いつだって、ヴェルデ様が守ると言ってくださったでしょう?どんな時だって、ヴェルデ様は私のそばにいて支え、守り、導いてくださいました。だから私は、ヴェルデ様がいれば何も怖くありません」
フワッと花が咲いたように微笑むローラを見て、ヴェルデは身体の奥から何かがブワッと湧き上がるのを感じる。ガレスとレイナー、フェインはそれぞれ目を合わせてふふっと嬉しそうに笑った。
「ものすごい口説き文句だな」
「これではヴェルデもイチコロなわけだ」
「全く、二人には敵わないな。ご馳走様」
三人の言葉が耳に入るか入らないかの内に、ヴェルデはローラをぎゅっと抱きしめていた。
「ローラ、愛してる。そうだね、俺がどんな時だってローラを守る。だから大丈夫だ」
「……はい!」
「それじゃ、了承は得たということでいんだな」
ガレスの質問に、ヴェルデとローラは力強く頷いた。それを見てガレスはニッと口角を上げると、会場の中央まで足を運ぶ。
「本日はお集まりいただき感謝する。主催のガレスだ。堅苦しい挨拶は抜きにする。俺がそういうの苦手だってことは知っているだろ?」
その言葉に、会場内からはクスクスと控えめだが楽しげな笑い声がする。ガレスはこの国の第一王子だが、誰に対しても気さくで、堅苦しいことが嫌いなことが国内でも有名だ。
「よし、それじゃ手っ取り早く話を進める。今回この場を設けたのには理由がある。我が国の筆頭魔術師、ヴェルデが婚約を経て結婚した。そこで、ヴェルデの妻、ローラをこの場できちんと紹介したいと思ってのことだ」
ガレスがそう言ってヴェルデとローラを手招きする。ヴェルデはローラをエスコートしながらガレスの側へ立った。
「私の愛する妻、ローラです。出身は隣国ティアールですが、婚約を機に私と一緒にこの国で暮らしています」
ヴェルデがそう言うと、ローラは静かに微笑んでドレスを優しく掴み、ふわりとお辞儀をする。ひとつひとつの動きは洗練されており、やはりその所作は見事なもので、会場の誰もが目を奪われ感嘆のため息があちこちから聞こえてくる。
「本当に、本当にいいのか?ローラ」
「はい。もちろん、私一人の一存では決定できません。ヴェルデ様が良しとしないのであればお断りします。でも、ヴェルデ様が良いと言ってくださるのであれば、私はかまいません」
「だけど、そんなことをしたら、ローラに対して良い思いを抱かない人間が増えるかもしれない」
「でも、味方だって増えるかもしれないぞ?ローラ嬢はそれだけ魅力的だからな。それはそれで、お前にとっては違う意味で心配になるかもしれないが」
不安げなヴェルデに、ガレスが軽口を叩きながら助言する。
「私のことを良く思わない人が増えても、別にいいのです。生きていれば、良くも悪くも思われます。それでも、良く思ってくださる方々と親しくなれれば、私はそれで十分幸せです」
それに、とローラは美しい宝石のような瞳をヴェルデに向ける。
「いつだって、ヴェルデ様が守ると言ってくださったでしょう?どんな時だって、ヴェルデ様は私のそばにいて支え、守り、導いてくださいました。だから私は、ヴェルデ様がいれば何も怖くありません」
フワッと花が咲いたように微笑むローラを見て、ヴェルデは身体の奥から何かがブワッと湧き上がるのを感じる。ガレスとレイナー、フェインはそれぞれ目を合わせてふふっと嬉しそうに笑った。
「ものすごい口説き文句だな」
「これではヴェルデもイチコロなわけだ」
「全く、二人には敵わないな。ご馳走様」
三人の言葉が耳に入るか入らないかの内に、ヴェルデはローラをぎゅっと抱きしめていた。
「ローラ、愛してる。そうだね、俺がどんな時だってローラを守る。だから大丈夫だ」
「……はい!」
「それじゃ、了承は得たということでいんだな」
ガレスの質問に、ヴェルデとローラは力強く頷いた。それを見てガレスはニッと口角を上げると、会場の中央まで足を運ぶ。
「本日はお集まりいただき感謝する。主催のガレスだ。堅苦しい挨拶は抜きにする。俺がそういうの苦手だってことは知っているだろ?」
その言葉に、会場内からはクスクスと控えめだが楽しげな笑い声がする。ガレスはこの国の第一王子だが、誰に対しても気さくで、堅苦しいことが嫌いなことが国内でも有名だ。
「よし、それじゃ手っ取り早く話を進める。今回この場を設けたのには理由がある。我が国の筆頭魔術師、ヴェルデが婚約を経て結婚した。そこで、ヴェルデの妻、ローラをこの場できちんと紹介したいと思ってのことだ」
ガレスがそう言ってヴェルデとローラを手招きする。ヴェルデはローラをエスコートしながらガレスの側へ立った。
「私の愛する妻、ローラです。出身は隣国ティアールですが、婚約を機に私と一緒にこの国で暮らしています」
ヴェルデがそう言うと、ローラは静かに微笑んでドレスを優しく掴み、ふわりとお辞儀をする。ひとつひとつの動きは洗練されており、やはりその所作は見事なもので、会場の誰もが目を奪われ感嘆のため息があちこちから聞こえてくる。