The previous night of the world revolution
動きはかたつむりのようにのんびりしているが、今日のルシファーはなかなかによく食べていた。

成程。俺が作ると食べるのか。

まぁ、食べているといっても常人の半分ちょっとくらいだけど。

俺が折角作ったのに残したら悪いからとか、そういう理由で食べてるんだろうなぁ。多分。

味も悪くはないと思うが。薄味なだけで。

「…ところでルル公」

「あ?」

「アリューシャのサルサは?」

…忘れていなかったか。

あるかそんなもん、と言ってやれば良いのだろうけど、生憎あるのだ。

自分の甘さに溜め息が出そうだ。

「作ってきたよ、ほら」

「いえーい!サルサ~」

チキンサルサでこんなに喜ぶのはお前とメキシコ人くらいだ。

別にメキシコ人を馬鹿にするつもりはないが。

アイズも来るかなと思って、二人分作ってしまった。余る一人分をどうしようか。

「ルシファー…。サルサソースだけでも食べるか?」

「…」

「一応、辛さはかなり控えめにしたんだけど」

アリューシャも辛いの駄目だからな。基本的に舌がお子様なのだ、アリューシャは。

「ソースだけじゃ美味しくないでしょ。チキンもお食べよ、チキンも。それでこそのサルサだぞ」

と、アリューシャは自分ももぐもぐしながら、ルシファーにチキンをずいっと差し出した。

さすがにそれは無理だろうと思ったのだが、ルシファーはしばしそれをじっ、と見つめて。

またしてもゆったりとした動きで、チキンを一口、口に入れた。

え。食べるの?

「ルル公のサルサ超美味いだろ」

無言で肯定するルシファー。マジか。

まさかルシファーが食べてくれるとは思わなかった。食べてもソースだけかと…。

しかも、雑炊や茶碗蒸しを食べていたときより心なしか嬉しそうだ。そんなに口に合ったか。そうなのか。

それとも単純に、病院食にうんざりしていただけなのか。

「見てみろ。ルル公のサルサが世界を救った瞬間だ」

「あぁ…。まさかサルサで世界を救えるとは…」

帰ったら即行で、サルサソースを使ったメニューのレパートリーを増やそう。

俺は心にそう決めた。



しかし、やはりチキンサルサは負担が大きかったらしく。

「美味しいけど…重い…」

「そうだろうな…。無理しなくて良いぞ」

三口くらい食べて、ルシファーはチキンサルサを断念した。
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