うみに溺れる。
***


「違う、ごめん、そういう訳じゃない。そんな風に思わせたい訳じゃなくて…、」

「じゃあなんでっ、」


雫玖が死んでからの海は以前よりも塞ぎ込むようになったと思う。

あぁ、そりゃそうか。
幼なじみである前に彼氏が死んだのだから。

寝坊して遅刻しそうになってでも髪を巻いてメイクをしていた海が今ではストレートのままで、ほぼすっぴん姿も。

学校に登校するようになって、チャイムを鳴らして待っていたら勢いよく開いた玄関の扉から海が出て来て俺だけしか居ない事を見て光がなくなっていくあの目も。



『……なんで雫玖は死んだの?』



泣きながらそう呟くその言葉も、どれも、何もかも俺に突き刺さった。

俺が海を好きだと気付いたから。
雫玖に気付かれたから。
俺が、あの時……。


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