うみに溺れる。
『いきなりごめんね。どうしてもこれ、渡しておきたくて』
そう言っておばさんが俺に差し出したのは白い封筒だった。
《空人へ》
と雫玖の筆跡で書かれている俺の名前。
『……これ、』
『…うん、遺書だと思うの』
『っ、』
『この前、少しこの部屋を整理したの。見ての通り元々物が少なかったから整理もなにもなかったんだけど…』
引き出しの中に入っていたらしい。
『っ、海には』
『ううん、空人くんにだけ』
封筒を受け取った手が見て分かるように震えた。
一体なんて書いてあるんだろう。
恨み妬みでも、悪口でも書いてあるんだろうか。
いや、逆に空人のせいだと書かれてあった方が潔いのかもしれない。
『海ちゃんにはこれを渡して欲しいの』
そっと渡されたそれは四角い箱。
というよりジュエリーボックスのような、母さんの部屋で似たような物を昔見た事があった。
パカッ、と音を立てて開けるとそこには指輪が入っていて指先が冷たくなるのを感じた。
『多分、っていうより絶対これは海ちゃん宛でしょう?』
『そう、ですね…』
『本当は直接渡してあげたいけど、海ちゃんは多分私に会いたくないと思うから…』