うみに溺れる。
***


雫玖の家を出た後、海の家に寄って駅まで送ってもらった。
今生の別れのような雰囲気に笑ってしまったけど、一人娘なら仕方がないかと思いながら2人並んで手を振った。

ちなみにうちの親父は寂しいから行きたくないと意味の分からない事を繰り返して結局本当に来なかった。


「お前さ、雫玖の事好きだったの?」

「え?」

「…あぁ、いや。なんでもない忘れろ」


何も会話がない中で、ふと思い出して聞いた。


「好きだったよ。でも、好きだから付き合ったっていうより…」

「なんだよ」

「雫玖ってさ、ちゃんと掴まえとかないといつの間にか消えそうな雰囲気あったじゃん。それが怖くて、私も必死だったんだよ。……いつも3人一緒だったから。1人でも欠けるなんて嫌じゃん」

「……俺よりも雫玖を優先したのは事実だろ」

「あんたはなんだかんだ一緒にいると思ったから」


我ながらなかなか女々しい言葉を海はなんて事ないようにスルーして言葉を続けた。

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