うみに溺れる。
暗い僕の世界にいつも色を付けてくれるのは海だった。
無邪気に笑う笑顔、優しい声。
何も知らない純粋無垢な彼女に惹かれたのはきっと必然で、同じように空人も彼女を目で追っている事に気付いた。
その瞬間、胸の奥からザワザワとした黒いモノが湧く感覚がして鳥肌が立った。
空人は僕にとって幼なじみであり、親友だ。
どうして僕が彼にこんな醜い感情を抱かなくてはいけないんだ。
『……何?そのキーホルダー』
『あ、これ?今俺と海さ、このキャラクターにハマってて、買おうかなあって悩んでんだよ』
『雫玖も可愛いと思わないっ?』
空人の家で3人揃って勉強会。
2人とも勉強が苦手で、テスト前はいつも僕が面倒を見るのが恒例になっていた。
その休憩中、空人と海は並んでスマホの画面を見てうーんと唸っていた。
『……可愛いね、』
『でしょ!雫玖も買おうよ!』
2,000円もしないそれを僕は知らない。
…昔から2人はよく気が合う。
好きな物も、考える事も、ほとんど同じで。