女嫌いな年下のおとこのこ
まあ瑞希には働き過ぎだのちゃんとメシ食えだの散々に言われてはいるが、やはり心配をかけていたのだろうか。
帰ったらさり気なく聞いてみようかな、なんて考えていると飛鳥が一歩足を踏み出してきた。
「白河さん、前に俺に聞いた事覚えてますか。気になる人はいるかって」
「うん?覚えてるよ、でもさっき相手はいないって…」
「はい、相手は居ません。けど気になってる人、本当はいるんです」
「そうなの!?」
全く予想だにしていなかったから驚いた。
こうして自分に話してくると言う事は知っている人物…先程の質問からして社内の人間なのだろうか。
これはとうもう女達の戦争が勃発するのでは、と少し背中が冷えたところで関わりたくない気持ちが生まれたが、こうして本人から話を振られている以上聞かぬ存ぜぬは通用しない。
そんな心の内を隠して「どんな人?」と聞けば飛鳥は真っ直ぐにこちらを見て言った。
「白河さんです」
「………」