女嫌いな年下のおとこのこ
最早言葉を発するのも忘れて固まった。
聞き間違いだろうか。
今自分の苗字を言われた気がしたのだが。
「一ノ瀬さんに気になる人って聞かれて、咄嗟に浮かんだのが白河さんでした。それから貴女を目で追うようになりました」
「…ち、ちょっと待って、私?」
「はい」
きっぱりと肯定され、これで本当に逃げ場が無くなってしまった。
「仕事が出来て、それでいてどこか可愛らしい白河さんが好きだと思いました」
「……」
「白河さんが俺のことそういう目で見てないのは知ってます。だから意識して欲しくて言いました」
「…え、っと…」
まさか後輩からそんな気持ちを抱かれているとは露とも思わなかった。
好意を持ってくれているのは純粋に嬉しい。
けれどどうしても、その気持ちには応えられそうもない。
その言葉が欲しいのは、瑞希からだと思ってしまったから。