女嫌いな年下のおとこのこ



「…いきなりな上、激しすぎだよ…」
「ガキじゃねえんだからこれくらい当然だ」


頬を掴んでいた手が離され、酸欠でぼうっとした頭のまま聖は瑞希の胸元に力無く倒れ込んだ。


「瑞希くん、キス上手いね…」


ぼんやりとした頭のままそう呟けば、肩に置かれた手にぎりっと力が込められる。


「煽っとんのかコイツ」
「あお…なに?」
「うるせーわ!つかお前酒臭いんだよ、とっとと風呂入ってこい!」


そのまま家の中へ引っ張り込まれ、慌てて脱いだパンプスに転けそうになりながらズンズンと進み洗面所に放り込まれた。


「タオルはここ、着替えはそこ、シャワーだけでいいからとっとと洗って出てこい!」


バタンと乱暴にドアを閉められ、ぽかんと立ち尽くして周りを見渡す。

髪の毛どころか塵ひとつない綺麗な洗面所。

瑞希が出ていって荒れまくった自分の家のそれとは大違いだ。

酒臭いと言われてしまったので仕方なく衣服を脱ぎ、シャワーでひと通り洗い流して風呂を出た。



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