【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
 彼は、はっきりとそう言った。

 理由はシェスティだって分かっている。ここに辿りつくまで、二人の時間はとても長くかかってしまったから。

「可愛い。抱き締めてもいいのか?」
「うっ、か、可愛いなんて言わないで」
「可愛いから、可愛いと言っている。俺以外に見せたくないくらいだ」

 顔を背けようとした拍子に頬にこぼれたシェスティの金髪を、彼が指の腹でそっと撫でつけながら、顔を寄せてくる。

「それで、いいか?」
「……抱き締めていいか、なんて今さら確認する必要ある?」

 さっき抱き締めたではないか。

 シェスティは、照れ隠しで可愛げのなく軽く睨み付けてしまった。

「ある。シェスティに嫌われたら、俺は生きていけない」
「っ」
「俺は君を大切にしたいんだ。ゆっくりずつ、慣らすから」

 彼だって男女交際は初めてのくせに、なんでそう余裕たっぷりなのだろう?

「さっき抱き締められたのも嫌じゃなかったわ、だから……いいから」

 シェスティは、真っ赤な顔でそう告白した。
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