【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
 たびたび少し触らせてもらっていたが、まさか三年経って尻尾がさらにもっふもふに成長しているとは思ってもいなかったことだ。

 このまま両腕で尻尾を楽しんでいいというのなら、シェスティも断るつもりはない。

「分かった。でも、あとで文句言ったりしないでね?」
「言わない、しない」

 まずい。カディオの語彙力まで失われてしまっている。

(ひとまず彼をここから避難させないと)

 シェスティは彼の尻尾を両腕でぎゅっと抱き締めてみた。なんとも弾力感があって、驚く。

「わっ、なんてボリュームかしら……!」

 直後、カディオが両手で顔を覆う。

「ボリュームが、すごい……!」

 彼も自分の尻尾を客観的に知れて、感動しているらしいとシェスティは思った。少しは彼の役に立ったみたいで、ほっとする。

(尻尾は獣人族の誇りだとかなんとか言うらしいから、嬉しいのね)

 そんな彼の心情を想像して、シェスティも嬉しくなってしまった。

 同時に、重大なことにも気付いてしまった。

(急にその誇りで自信を回復したいほど休憩が必要になっているのね)

 シェスティは、彼をひとまず国王たちがいる場所まで引っ張ることにした。

       ◇◇◇
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