【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
「ちょっとカディオっ、陛下に何してるのっ」

 たびたびそうやってわけの分からない喧嘩を急に勃発させることはあったが、まさか二十四歳になってもしていたなんて。

「あ、いいんだよシェスティ。私。家庭内ではいつもこんな扱いだから――」
「あら、もう酔ってるのかしらね」

 気付いて見てきた王妃がそう言った。

 カディオが、形のいい口元でライングラスを傾けて、ごくごくと飲む。あっという間にグラスの中を空にすると、息を吐き、やや乱暴に手の甲でぐいっと口元を拭う。

「シェスティ、飲んだぞ」
「なぜ、主張されているのかしら……」

 空になったグラスを見せられても、戸惑いしかない。

 カディオの表情は、心なしかわくわくしている感じがする。彼の尻尾は左右にぶんぶん揺れていた。

(やっぱり彼、おかしい)

 楽しそうだが、どこにそんな要素があっただろう。

(陛下? 陛下を押しやれたことが楽しかったとか? いえ、まさかよね)

 シェスティは、カディオのことがよく分からなくなってきた。
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