【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
「いい飲みっぷりだけど、心配になってきたわ」
「あー、気にしすぎじゃないかな」

 兄の言葉が、こんなにも頼りなく聞こえたことはあっただろう。気のせいか、棒読みに聞こえてくるのだ。

 母が空のグラスを回収するよう人を呼ぶ。いつの間にか注目を集めていたようで、父が国王と一緒にフォロー入っていた。

 それを横目で眺めていた王妃が、シェスティに耳を寄せた。

「この子、褒められたいのではないかしら」
「え?」
「褒めてくれるか」

 カディオがそう口にして、尻尾がもっと左右に大きく触れた。

「……彼、酔ってるのかしら?」
「狼ってだいたいこんな感じよ。婚約するまで、陛下も挙動不審だったわ」

 すると国王が向こうから、「私はそんなんじゃなかったぞ!?」なんて主張してくる。さすがは獣耳、よく聞こえているようだ。

(一気飲みしたせいで、今だけ酔っているのかも)

 シェスティが覚えている限り、カディオは酒に強い人だった。

 その澄ました、つまらなそうな顰め面を赤くすることはなかったし、変な行動もゼロだ。
 ただただ、毎回ずっとシェスティの隣で不機嫌にしている。

 それなのに今、彼はどこか目を期待に輝かせてシェスティを見つめている。
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