【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
(それなのに、今はさせてくれないの?)

 目が自然と潤んでくる。
 カディオがハッとしたように見つめ返し、済まなそうに「違うんだ」と言った。

「昔も今も変わらない」
「嘘よ。私の案内が気に食わないんでしょう? カディオは私のこと、有能な女だから嫌っていて、だからあんなにつっかかってきていたものね」
「――は?」
「でも嫌われていたって構わないわっ、私にとってカディオは大切な人だもの!」

 そうだ、嫌々ながら大人たちにカディオとずっと接点を持たせ続けられ、気付いた時には、シェスティの人生の半分以上を占める重要な人になっていた。忘れたくても、忘れられないような人。

 隣国に一人でいったあと、そう気付いた。

「カディオがいくら私を気に食わないと、心の底では拒絶反応を示していても、さっきのパーティーで困らせたみたいに意地悪してきても――私からは、あなたを嫌いになんてなれないし、心配するなと言われたって、心配になるんだから仕方ないじゃない」

 カディオの目が、ゆるゆると見開かれていく。
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