【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
(ああ、つまり家族も陛下たちも、みんなもグルだったわけね)

 たびたびされていた、よく分からない会話を思い出した。
 屋敷のメイドたちが呆れていたのも、カディオの気持ちは彼女たちに筒抜けだったせいだろう。

 彼は、何度も『好き』だと言おうとして失敗したと言っていた。

 それくらい長い間、シェスティは一人の男性に想われ続けていたのだ。

(自分の口から言いたかったなんて、好感しかないわよ)

 シェスティは、ばくばくと鳴り続けている自分の胸を、手で強く押さえる。

「……嫌いだったら、こんなにも長く付き合ってないわ。私のさっきの言葉、聞いてたでしょ? 私があなたのことがどうでもよくなる日なんて……くるはずがないもの」
「じゃあ俺が口説きに口説けば、結婚にも承諾してもらえるのか?」
「そ、そういうことするなら、先に婚約からにしてちょうだいっ」

 婚約しないうちからされるほうが、恥ずかしい。周りになんと言い訳すればいいのか分からない。
< 85 / 102 >

この作品をシェア

pagetop