【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
「婚約のことは忘れないでほしい! 明日にでもするから!」
「ひゃあ」

 シェスティは心臓が口から飛び出すかと思って、変な声が出たうえ、咄嗟に全力疾走してしまった。

 彼が、積極的すぎて困る。

(こ、こんなこと、全然予想していなかったわっ)

 シェスティは、いっぱいいっぱいになって涙も浮かんでいた。

 廊下を下がったところで、身を潜めて護衛していたらしい騎士たちとぶつかった。どうやら何か起こったら止めるよう命じられていたみたいだ。

 彼らは、シェスティの様子を見るなり慌て、とうとう手を出されてしまったのかと急ぎ確認してきた。そのせいで彼女は一層真っ赤になって「違うったらああああああ!」と、あとで両親たちの夜の飲み会で大笑いのネタにされる、黒歴史になる羞恥の絶叫を響かせて廊下を全速力で走ったのだった。

          ◇◇◇

 王宮に泊まらせてもらった翌日、シェスティはどきどきしすぎて寝付くのが遅くなったせいで、少しだけ寝坊してしまった。
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