ファンは恋をしないのです
「隣、だめですか?」
「だめ、ではない…ですけど、いいんですか?」
「いいもなにも、僕がお願いする立場です。」
「いやっ…多分私がお願いする立場です。」
「だめじゃないなら、隣、座ります。お姉さん、生ビール一つください。」
「はーい。」
緊張で左半身がびりびりする。緊張を酒で緩和したくても酔えないのだから、里依の場合は何の意味もない。
「今日、もしかしてスタカラのライブ、行ってました?」
「あっ、はい。」
「あれ、友達は…?」
「怜花はちょっと熱が出ちゃって…。だから私一人で行ってきました。」
「それって夕方の回?」
「はい。」
「じゃあ同じ回を観てたかも。」
「えっ!?今日、現地で観てらしたんですか?」
「スモハニの仲間がみんな今日来れるって言うから、みんなで観てきたんですよね。」
「えっそんな裏情報を…。」
またしても罪悪感がすごい。知ってしまっていいのだろうか?いや、よくない。里依は頭をブンブンと振った。
「ん?」
「…そんな極秘情報は、私が知るよりも先にSNSに流してありますか?」
「あ、はい。みんなでリングライトしてる写真、あげたはず…。」
「…良かった。私が最先端の情報を有してたらと思うと…。」
「里依さんが最先端の情報をもっていたらだめなの?」
「だめですよ!」
「だめなんだ。…面白いね。」
にこっと笑う表情の上に『朋希』が重なってくる。オタクというものは声優とキャラクターを重ね合わせるのが得意なのだ。本人にそのつもりがなくても、少しでも似通っているところを見つけては重ねて、それをありがたがってしまう。個人で楽しむ範囲でと頭の中で戒めてはいるが、こうも近くで、しかも自分の前で出されてしまうと重ねない方が難しかった。
「ビール、お待たせしました。」
「ありがとうございます。じゃあ、スタカラライブに乾杯!」
「…乾杯…?」
カツンとグラスとジョッキが重なった。里依のグラスに入っていた小さい氷がカランと音を立てた。
「だめ、ではない…ですけど、いいんですか?」
「いいもなにも、僕がお願いする立場です。」
「いやっ…多分私がお願いする立場です。」
「だめじゃないなら、隣、座ります。お姉さん、生ビール一つください。」
「はーい。」
緊張で左半身がびりびりする。緊張を酒で緩和したくても酔えないのだから、里依の場合は何の意味もない。
「今日、もしかしてスタカラのライブ、行ってました?」
「あっ、はい。」
「あれ、友達は…?」
「怜花はちょっと熱が出ちゃって…。だから私一人で行ってきました。」
「それって夕方の回?」
「はい。」
「じゃあ同じ回を観てたかも。」
「えっ!?今日、現地で観てらしたんですか?」
「スモハニの仲間がみんな今日来れるって言うから、みんなで観てきたんですよね。」
「えっそんな裏情報を…。」
またしても罪悪感がすごい。知ってしまっていいのだろうか?いや、よくない。里依は頭をブンブンと振った。
「ん?」
「…そんな極秘情報は、私が知るよりも先にSNSに流してありますか?」
「あ、はい。みんなでリングライトしてる写真、あげたはず…。」
「…良かった。私が最先端の情報を有してたらと思うと…。」
「里依さんが最先端の情報をもっていたらだめなの?」
「だめですよ!」
「だめなんだ。…面白いね。」
にこっと笑う表情の上に『朋希』が重なってくる。オタクというものは声優とキャラクターを重ね合わせるのが得意なのだ。本人にそのつもりがなくても、少しでも似通っているところを見つけては重ねて、それをありがたがってしまう。個人で楽しむ範囲でと頭の中で戒めてはいるが、こうも近くで、しかも自分の前で出されてしまうと重ねない方が難しかった。
「ビール、お待たせしました。」
「ありがとうございます。じゃあ、スタカラライブに乾杯!」
「…乾杯…?」
カツンとグラスとジョッキが重なった。里依のグラスに入っていた小さい氷がカランと音を立てた。