ファンは恋をしないのです
「あ、あれっ、なんか変なこと言いましたか、僕。」
「い、いえっ!すみません!今、完全にプライベートなお時間なのに、…すみません、三澄さんが笑うとその…ライブの日の三澄さんを思い出しちゃって…。」
耳が熱い。怜花や二階堂がいた日にも三澄は笑っていた。しかし、自分にだけ屈託なく笑う表情を見せてくれているという事実が、里依の心臓を直接刺してくる。わかりやすく鼓動は飛び跳ねて、その緊張や照れが体温の上昇として表れてしまう。
「…あれから結構経つのに、思い出しますか?」
「思い出しますよ!稲妻ですからあのライブは!」
「い、稲妻…。」
「そのくらい衝撃的だったんです。あんなに近くまでキャストの皆さんが来てくれるとも思わなかったし、あんなにキラキラ衣装だとも思わなかったし、思いもよらぬ曲も歌うし…。」
「…嬉しいなぁ。」
「え?」
三澄が、また柔らかく微笑んでいる。里依の方ではなく、壁にかけてあるメニューを見ながら三澄は言葉を続けた。そんな三澄の横顔を見つめて、里依はその言葉に耳を傾ける。
「…どの仕事も一生懸命に取り組んでいるけれど…そうだな、ダンスとかポージングとか、普段声優として仕事をしているときには求められないところを考えたり練習したりしたので、そういう意味でもかなり頑張ったなというのが正直なところで。…だから、そういう風に自分が心を注いで参加したものを、里依さんみたいに反芻してくれる人がいることが嬉しいです。」
『あ、これください。』と注文をしながらする話じゃない。そんな大切な思いをダイレクトに受け止めてしまっていいはずがないのに、こうやって聞かされてしまったら余計にあのライブが大切なものになってしまう。輝きが一層増してしまう。
「…里依さん?」
「…あの、本当に、こんな話を私にして大丈夫なんですか?」
「え?大丈夫ですよ?だって情報漏洩はしてないですし。今のはただの僕の感想です。仕事の内容は声優だけど、声優だって普通の人ですから。」
「…それは…そう、なんですけど。」
自分と変わらない、何なら年の近い普通の人。食べる姿もお酒を飲む姿も何も変わりない。だからこそ、こうやって当たり前みたいに隣に座って会話をして食事をすることが、周りから見たって『普通』のことのように風景の一つとして溶けてしまっているのだろう。
「い、いえっ!すみません!今、完全にプライベートなお時間なのに、…すみません、三澄さんが笑うとその…ライブの日の三澄さんを思い出しちゃって…。」
耳が熱い。怜花や二階堂がいた日にも三澄は笑っていた。しかし、自分にだけ屈託なく笑う表情を見せてくれているという事実が、里依の心臓を直接刺してくる。わかりやすく鼓動は飛び跳ねて、その緊張や照れが体温の上昇として表れてしまう。
「…あれから結構経つのに、思い出しますか?」
「思い出しますよ!稲妻ですからあのライブは!」
「い、稲妻…。」
「そのくらい衝撃的だったんです。あんなに近くまでキャストの皆さんが来てくれるとも思わなかったし、あんなにキラキラ衣装だとも思わなかったし、思いもよらぬ曲も歌うし…。」
「…嬉しいなぁ。」
「え?」
三澄が、また柔らかく微笑んでいる。里依の方ではなく、壁にかけてあるメニューを見ながら三澄は言葉を続けた。そんな三澄の横顔を見つめて、里依はその言葉に耳を傾ける。
「…どの仕事も一生懸命に取り組んでいるけれど…そうだな、ダンスとかポージングとか、普段声優として仕事をしているときには求められないところを考えたり練習したりしたので、そういう意味でもかなり頑張ったなというのが正直なところで。…だから、そういう風に自分が心を注いで参加したものを、里依さんみたいに反芻してくれる人がいることが嬉しいです。」
『あ、これください。』と注文をしながらする話じゃない。そんな大切な思いをダイレクトに受け止めてしまっていいはずがないのに、こうやって聞かされてしまったら余計にあのライブが大切なものになってしまう。輝きが一層増してしまう。
「…里依さん?」
「…あの、本当に、こんな話を私にして大丈夫なんですか?」
「え?大丈夫ですよ?だって情報漏洩はしてないですし。今のはただの僕の感想です。仕事の内容は声優だけど、声優だって普通の人ですから。」
「…それは…そう、なんですけど。」
自分と変わらない、何なら年の近い普通の人。食べる姿もお酒を飲む姿も何も変わりない。だからこそ、こうやって当たり前みたいに隣に座って会話をして食事をすることが、周りから見たって『普通』のことのように風景の一つとして溶けてしまっているのだろう。