ファンは恋をしないのです
「…ごめんね、泣いてるところも可愛いなんて思っちゃって。不謹慎だよね、反省します。」
「へっ…?」
「涙、綺麗に落ちてびっくりした。そんなギリギリのところまで泣くの我慢しなくてよかったのに。頼りなく思うとは思うけど、怖いところに一人きりにしないってことはできるからね、俺でも。」
手から伝わる三澄の体温は里依のものより少し高く感じた。その温さが、今は心を少し落ち着けてくれる。
「明るかったら少し怖さ、減る?」
「は、はい!」
「でも、雷の音の方が怖いのかなって感じがしたんだけど…。」
「…は…はい…。」
「明るさは…そうだな、あ、ペンライト!リングライトも全部もう一回つけちゃおうか。そしたらまあまあな明るさになるよね?」
「二人分合わせたらソファ周りは明るくなると思います。」
「じゃあつけよ、つけよ。」
テーブルの上に並べてある光るグッズたちに手を伸ばす。一つ明かりがつくたびに、部屋は明るさを取り戻し、互いの表情が見やすくなる。泣き顔をはっきりと見られてしまうのは気が引けたが、怖くない状態までもっていかねば涙は引いてくれないのだから仕方がない。一通りライトをつけ終わると、テーブルの上が色とりどりに光っていた。三澄のペンライトはフォーカクカラーに輝いている。一度離れた三澄の手が、再び里依の手を取った。
「三澄…さん…、あの…手…は…。」
「さっき握った時、震えてたから気になって。…手、冷たいし。」
三澄の手が、里依の手をさすった。握手会でもこんなことはされない。握手会なんて行ったこともないけれど。
「い、いきすぎたファンサービス、し、しちゃだめ、です。」
「ファンサービスかぁ。…里依さんはファンでもあるけど、今日はファンの方のためのイベントってわけじゃなくて、プライベートだよ?」
「…そ、それはそうなんですけど…本当にあの…もちません、私!キャパオーバーです!」
「…ごめんね。でも、もうちょっとだけ手は繋がせて?里依さんの手が温かくなったら離すから。」
手が温かくならなければいいなんて、思ってはいけない。怖さが少しずつなくなっているのは、ペンライトの明かりが背中を押してくれているのもあるが、それだけではなく、三澄が手を優しく握ってくれているからだと気付いてしまってはいけないような気がして、里依は空いた手を胸の前できゅっと握った。
「へっ…?」
「涙、綺麗に落ちてびっくりした。そんなギリギリのところまで泣くの我慢しなくてよかったのに。頼りなく思うとは思うけど、怖いところに一人きりにしないってことはできるからね、俺でも。」
手から伝わる三澄の体温は里依のものより少し高く感じた。その温さが、今は心を少し落ち着けてくれる。
「明るかったら少し怖さ、減る?」
「は、はい!」
「でも、雷の音の方が怖いのかなって感じがしたんだけど…。」
「…は…はい…。」
「明るさは…そうだな、あ、ペンライト!リングライトも全部もう一回つけちゃおうか。そしたらまあまあな明るさになるよね?」
「二人分合わせたらソファ周りは明るくなると思います。」
「じゃあつけよ、つけよ。」
テーブルの上に並べてある光るグッズたちに手を伸ばす。一つ明かりがつくたびに、部屋は明るさを取り戻し、互いの表情が見やすくなる。泣き顔をはっきりと見られてしまうのは気が引けたが、怖くない状態までもっていかねば涙は引いてくれないのだから仕方がない。一通りライトをつけ終わると、テーブルの上が色とりどりに光っていた。三澄のペンライトはフォーカクカラーに輝いている。一度離れた三澄の手が、再び里依の手を取った。
「三澄…さん…、あの…手…は…。」
「さっき握った時、震えてたから気になって。…手、冷たいし。」
三澄の手が、里依の手をさすった。握手会でもこんなことはされない。握手会なんて行ったこともないけれど。
「い、いきすぎたファンサービス、し、しちゃだめ、です。」
「ファンサービスかぁ。…里依さんはファンでもあるけど、今日はファンの方のためのイベントってわけじゃなくて、プライベートだよ?」
「…そ、それはそうなんですけど…本当にあの…もちません、私!キャパオーバーです!」
「…ごめんね。でも、もうちょっとだけ手は繋がせて?里依さんの手が温かくなったら離すから。」
手が温かくならなければいいなんて、思ってはいけない。怖さが少しずつなくなっているのは、ペンライトの明かりが背中を押してくれているのもあるが、それだけではなく、三澄が手を優しく握ってくれているからだと気付いてしまってはいけないような気がして、里依は空いた手を胸の前できゅっと握った。