ファンは恋をしないのです
「それもまるごと、話したら?」
「…重すぎ。付き合ってるわけでもないのに。」
「あ、そこはそうやって思うんだ。じゃあ付き合ってるわけでもないのに、自分がトラブルになるって思うのはなんで?」
「…女ってだけで叩く理由は十分になるってことも考えられるから。」
「…ん-…まぁ、そうじゃないとは言ってあげられないなぁ、残念ながら。」
「でしょう?」
声優はアイドルではない。しかし『推し』という文化が少し根付いてしまった昨今、声優の熱愛報道だって充分着火するし、それなりの大きさの火力をもつ。
「…声優を応援するのは良い。声優じゃなくても、応援はいいと思う。でも行き過ぎた気持ちは…良くない。」
「それはさ、向こうが好きじゃなかった場合は、でしょ?つまりは、里依が押しかけてやってるならってこと。押しかけてるの?」
「…押しかけてはないけど、でも結果は押しかけてる人と同じことしてる…と思います。」
「いやいや、全然違うじゃん。少なくとも、居酒屋で里依に出くわしたかったのは向こうで、配信を一緒に見たかったのも向こう。これは里依がどう考えてようが、純然たる事実。事実と感情は分けて考えるべきだからね。」
「…事実と感情…。」
怜花ははぁーっと深くため息をついた。
「…呆れてるよね、ごめん。ずっとこんな感じで。」
「呆れてるっていうより、もっと素直になっていいのにって。三澄さんがいい人で、里依もいい子だから問題ないし、今すぐ付き合えとは言わないけど、お互いに興味があるのに、里依だけがそれを頑なに認めないからどうしようかなって。」
「…事実としては、お借りしたものを返したいから、連絡はする必要があります。事実というか、現実というか。」
「うん。」
「感情としては…、自分の気持ちがわからない。…なんか、上手く言葉にできない…。」
「そっか。じゃあさ、とりあえず返したいんだってことだけは伝えたら?」
「…そう、だよね。」
「うん。ほら、今やりな。」
「わ、わかった。」
里依はスマホをぎゅっと握った。『こんばんは』のスタンプをまず押す。そしてその後、『随分と長いことお借りしていて申し訳ありません。借りた衣類をお返ししたいのですが、ご迷惑にならない返却方法がありましたら教えてください。』と打ち込んだ。タップし終えると、里依はそのままスマホを伏せた。
「…重すぎ。付き合ってるわけでもないのに。」
「あ、そこはそうやって思うんだ。じゃあ付き合ってるわけでもないのに、自分がトラブルになるって思うのはなんで?」
「…女ってだけで叩く理由は十分になるってことも考えられるから。」
「…ん-…まぁ、そうじゃないとは言ってあげられないなぁ、残念ながら。」
「でしょう?」
声優はアイドルではない。しかし『推し』という文化が少し根付いてしまった昨今、声優の熱愛報道だって充分着火するし、それなりの大きさの火力をもつ。
「…声優を応援するのは良い。声優じゃなくても、応援はいいと思う。でも行き過ぎた気持ちは…良くない。」
「それはさ、向こうが好きじゃなかった場合は、でしょ?つまりは、里依が押しかけてやってるならってこと。押しかけてるの?」
「…押しかけてはないけど、でも結果は押しかけてる人と同じことしてる…と思います。」
「いやいや、全然違うじゃん。少なくとも、居酒屋で里依に出くわしたかったのは向こうで、配信を一緒に見たかったのも向こう。これは里依がどう考えてようが、純然たる事実。事実と感情は分けて考えるべきだからね。」
「…事実と感情…。」
怜花ははぁーっと深くため息をついた。
「…呆れてるよね、ごめん。ずっとこんな感じで。」
「呆れてるっていうより、もっと素直になっていいのにって。三澄さんがいい人で、里依もいい子だから問題ないし、今すぐ付き合えとは言わないけど、お互いに興味があるのに、里依だけがそれを頑なに認めないからどうしようかなって。」
「…事実としては、お借りしたものを返したいから、連絡はする必要があります。事実というか、現実というか。」
「うん。」
「感情としては…、自分の気持ちがわからない。…なんか、上手く言葉にできない…。」
「そっか。じゃあさ、とりあえず返したいんだってことだけは伝えたら?」
「…そう、だよね。」
「うん。ほら、今やりな。」
「わ、わかった。」
里依はスマホをぎゅっと握った。『こんばんは』のスタンプをまず押す。そしてその後、『随分と長いことお借りしていて申し訳ありません。借りた衣類をお返ししたいのですが、ご迷惑にならない返却方法がありましたら教えてください。』と打ち込んだ。タップし終えると、里依はそのままスマホを伏せた。