ファンは恋をしないのです
「里依さんが選んだのは野菜ジュース、と。よく飲むの?」
「あ、はい。ちょっと野菜足りてないかもって思った時にはつい手に取ってしまいます。…あの、私も聞いてもいいですか?」
「うん、もちろん。何?」
「三澄さんがシュークリームがお好きってことはわかったんですけど、こういう車の中で食べたり飲んだりするものでは何がお好きですか?」
里依がそう尋ねると、三澄はうーんと一度唸って考え込む。そしてぱっと閃いた顔で口を開いた。
「ほうじ茶!そういえば結構ほうじ茶飲んでること多いかもって今思った。」
「ほうじ茶!美味しいですよね。私も茶葉、家にあるので飲んでます。」
「えっ、茶葉?」
「茶葉…だと変ですかね?あっ、違いますよ!そんな高級志向とかじゃなくて、好きなお店があって、そこのを買っててたまに飲むって感じです。その、ゆっくりしたいときに落ち着く香りというか。」
「好きなお店があるんだね。いいなぁ、そういう自分時間っていうか、ゆったりできる時間をちゃんと作ってることがちゃんとしてるって感じで。」
「あ、あんまりちゃんとはしてない…かもです。」
「そうなの?」
ポンポンと弾む会話。三澄がずっと楽しそうだから、里依もつられて笑顔になる。スモハニの曲がうっすらと流れる車内は少し暖かくて、ゆっくりと緊張が解けていく。
「あ、というか服、ごめんね。袋先に後ろに置いてもらっちゃえば良かったね。邪魔でしょ?」
「い、いえっ!そんなに大きくないですし大丈夫です。」
「なんか綺麗な袋に入れてもらっちゃって…ありがとね。そんなに大したものじゃないのに。」
「いえっ!充分大したものですし、あの、本当にあの日は…ありがとうございました。洋服もですけどその…一人はやっぱり怖かったなって、思った…ので。」
つっかえつっかえ、何とか言い切る。洋服を返したかった気持ちも本当。伝えきれなかった感謝もあったから、それを伝えに来たのも本当だ。
「…里依さんが一人で怖い思いしなくてよかった。」
言い切って俯いた里依は、ぽつりと落ちた三澄の言葉に顔を上げた。ほんのりと赤く染まる三澄の頬を、まじまじと見てしまう。
「あ、あんまり凝視しないで。…めちゃくちゃ照れるから。現在進行形で照れてるんで。」
「す、すみません!」
三澄の赤さが里依の頬にも伝染した。スモハニの曲が沈黙を優しく緩和してくれた。
「あ、はい。ちょっと野菜足りてないかもって思った時にはつい手に取ってしまいます。…あの、私も聞いてもいいですか?」
「うん、もちろん。何?」
「三澄さんがシュークリームがお好きってことはわかったんですけど、こういう車の中で食べたり飲んだりするものでは何がお好きですか?」
里依がそう尋ねると、三澄はうーんと一度唸って考え込む。そしてぱっと閃いた顔で口を開いた。
「ほうじ茶!そういえば結構ほうじ茶飲んでること多いかもって今思った。」
「ほうじ茶!美味しいですよね。私も茶葉、家にあるので飲んでます。」
「えっ、茶葉?」
「茶葉…だと変ですかね?あっ、違いますよ!そんな高級志向とかじゃなくて、好きなお店があって、そこのを買っててたまに飲むって感じです。その、ゆっくりしたいときに落ち着く香りというか。」
「好きなお店があるんだね。いいなぁ、そういう自分時間っていうか、ゆったりできる時間をちゃんと作ってることがちゃんとしてるって感じで。」
「あ、あんまりちゃんとはしてない…かもです。」
「そうなの?」
ポンポンと弾む会話。三澄がずっと楽しそうだから、里依もつられて笑顔になる。スモハニの曲がうっすらと流れる車内は少し暖かくて、ゆっくりと緊張が解けていく。
「あ、というか服、ごめんね。袋先に後ろに置いてもらっちゃえば良かったね。邪魔でしょ?」
「い、いえっ!そんなに大きくないですし大丈夫です。」
「なんか綺麗な袋に入れてもらっちゃって…ありがとね。そんなに大したものじゃないのに。」
「いえっ!充分大したものですし、あの、本当にあの日は…ありがとうございました。洋服もですけどその…一人はやっぱり怖かったなって、思った…ので。」
つっかえつっかえ、何とか言い切る。洋服を返したかった気持ちも本当。伝えきれなかった感謝もあったから、それを伝えに来たのも本当だ。
「…里依さんが一人で怖い思いしなくてよかった。」
言い切って俯いた里依は、ぽつりと落ちた三澄の言葉に顔を上げた。ほんのりと赤く染まる三澄の頬を、まじまじと見てしまう。
「あ、あんまり凝視しないで。…めちゃくちゃ照れるから。現在進行形で照れてるんで。」
「す、すみません!」
三澄の赤さが里依の頬にも伝染した。スモハニの曲が沈黙を優しく緩和してくれた。