ファンは恋をしないのです
「ところで、最近何か欲しいなとかアウトレットで見たいってものはある?」
「あ、調べてきました!」
「偉すぎる!どこか見たいところあった?」
「えっと、ちょっとキッチン用品が欲しいかなって。フライパンとかそろそろ限界がきているので…。」
「里依さん、ちゃんと自炊してる感じだもんね。」
「そんなに大したものは日々作ってはいないですけどね。」
「鍋の具材とか、あっという間に切ってたよ。手際、すっごい良かった。」
「あ、ありがとうございます。」
当たり前の話だが、二人の共通の思い出があの日と何度か居酒屋で出会ったことくらいしかないため、必然的にあの日を思い出すことが多くなる。不意に恥ずかしさが込み上げて、どうしても里依の方は目が泳いでしまう。
「み、三澄さんは見たいもの、ありますか?」
「うん。新しい靴が欲しいなーって。ジム行ってるんだけどランニングシューズが結構ぼろぼろになっちゃったから、新調したいと思ってます。」
「ジム…すごいです!」
「体力ないと、ライブとか色々きついし、年齢にも多少は抗っていかないと取り残されちゃう業界だからなぁ…。老いは多少しょうがないとか思ってるけど、自分で頑張ればどうにかなることはまだまだ頑張っていきたいんだよね。楽しんでくれる人がいる限りは。」
楽しんでいる側の人間には見えない努力がある。きっとあるだろうとは思っていたが、それを本人の口からこの距離で聞く日が来るとは思っていなかった。
「お店探しくらいは協力できますので、微力ながらも協力させてください!お好きなメーカーなどはありますか?」
「うーん。あんまりこだわりなし。あ、1個だけいい?」
「はい、なんでしょう?」
「里依さんに選んでもらいたいって言ったら、困る?」
「へっ?」
突然重大な役が降ってきた。
「一緒に選んでほしいなって。里依さんがこれいいなって思ったのがあったら教えて?あ、そんなに緊張しなくて大丈夫だから!」
「い、いえっ…せ、責任重大ですがあの…はい、や、やります!三澄さんにはたくさんお世話になったのであの…今日は色々お役に立って恩返しができたらと思ってます。」
「…ふ。」
「…ふ?」
ふっと軽く笑いながら、三澄は里依を見つめた。
「里依さん、ずっと真面目で可愛いね。里依さんが今日来てくれたことが『恩返し』だから、それ以上は俺、貰いすぎになっちゃうよ。」
三澄の口から出る『可愛い』の響きは、ファンタジー的に言えば『魔法』で、現実的に言えば『麻薬』だ。ずっと耳に残って、顔が熱くなって、心がきゅっとなった後にぐちゃぐちゃになる。
「あ、調べてきました!」
「偉すぎる!どこか見たいところあった?」
「えっと、ちょっとキッチン用品が欲しいかなって。フライパンとかそろそろ限界がきているので…。」
「里依さん、ちゃんと自炊してる感じだもんね。」
「そんなに大したものは日々作ってはいないですけどね。」
「鍋の具材とか、あっという間に切ってたよ。手際、すっごい良かった。」
「あ、ありがとうございます。」
当たり前の話だが、二人の共通の思い出があの日と何度か居酒屋で出会ったことくらいしかないため、必然的にあの日を思い出すことが多くなる。不意に恥ずかしさが込み上げて、どうしても里依の方は目が泳いでしまう。
「み、三澄さんは見たいもの、ありますか?」
「うん。新しい靴が欲しいなーって。ジム行ってるんだけどランニングシューズが結構ぼろぼろになっちゃったから、新調したいと思ってます。」
「ジム…すごいです!」
「体力ないと、ライブとか色々きついし、年齢にも多少は抗っていかないと取り残されちゃう業界だからなぁ…。老いは多少しょうがないとか思ってるけど、自分で頑張ればどうにかなることはまだまだ頑張っていきたいんだよね。楽しんでくれる人がいる限りは。」
楽しんでいる側の人間には見えない努力がある。きっとあるだろうとは思っていたが、それを本人の口からこの距離で聞く日が来るとは思っていなかった。
「お店探しくらいは協力できますので、微力ながらも協力させてください!お好きなメーカーなどはありますか?」
「うーん。あんまりこだわりなし。あ、1個だけいい?」
「はい、なんでしょう?」
「里依さんに選んでもらいたいって言ったら、困る?」
「へっ?」
突然重大な役が降ってきた。
「一緒に選んでほしいなって。里依さんがこれいいなって思ったのがあったら教えて?あ、そんなに緊張しなくて大丈夫だから!」
「い、いえっ…せ、責任重大ですがあの…はい、や、やります!三澄さんにはたくさんお世話になったのであの…今日は色々お役に立って恩返しができたらと思ってます。」
「…ふ。」
「…ふ?」
ふっと軽く笑いながら、三澄は里依を見つめた。
「里依さん、ずっと真面目で可愛いね。里依さんが今日来てくれたことが『恩返し』だから、それ以上は俺、貰いすぎになっちゃうよ。」
三澄の口から出る『可愛い』の響きは、ファンタジー的に言えば『魔法』で、現実的に言えば『麻薬』だ。ずっと耳に残って、顔が熱くなって、心がきゅっとなった後にぐちゃぐちゃになる。