ファンは恋をしないのです
* * *
優しく頬に触れる指をもつ人は、目の前でにかっと笑った。まるで少年のように笑う三澄は、ネットのインタビュー記事や雑誌で見る三澄とは違う。きっとこれは、素顔で、そのままの笑顔だ。
里依は右手で、三澄の長袖のシャツの腕のところをつまんだ。ぐいっとは引けない。そこまでの勇気はない。
「…ごめんなさい、図々しくて。でもやっぱり…私もまだ、…叶うなら…三澄さんとお話ししたいです。」
真っ直ぐに気持ちを受け取って、それを見つめ返すこと。それが里依にはひどく困難なものに思える。でも、向き合いたいと今は思う。
「うん。たくさん話そう。LINEもいいけど、やっぱり電話したいな。」
「こっ…声を聞くチャンスがあるんですか…!?」
「うん。俺にも里依さんの声を聞くチャンスをちょうだい?」
「わ…私の声は大したことありませんが…三澄さんの声はその…レアというか…!」
「そう?今だって全然、『朋希くん』の声じゃなくない?普通の俺の声はその辺の人と同じだよ。」
「そんなことは絶対ないです!」
「なんで~?今日ずっと、普通に話してたでしょ?」
「それはその…そうなんですけど…。」
三澄がゆっくりと腕の力を緩めた。二人の間にさっきよりも距離ができる。里依の手を両手でぎゅっと握って、三澄は言葉を続ける。
「今日はね、改めて一緒に過ごして、里依さんはずーっと真面目で、何を選ぶのも一生懸命で、ほんとにずっと、可愛かった。やっぱり好きだなって思ったよ。」
「へっ!?」
里依の頬が熱で赤く染まる。耳がじりじりと熱くなるのを感じる。
「俺ね、やっぱり里依さんのこと、好きだよ。だから里依さんが俺のこと好きだなって思ったら、今日みたいに気持ち、聞かせて?いつでもいいから。別に好きとかそういう気持ちじゃなくても、里依さんの気持ちはいつでも伝えて?」
「…私を…好き…?」
「うん。」
三澄の手の力がぐっと増す。痛くはないけれど、離さないとも言われているような力加減だ。
「声優も普通の人間で、好きになるよ、人を。」
優しく頬に触れる指をもつ人は、目の前でにかっと笑った。まるで少年のように笑う三澄は、ネットのインタビュー記事や雑誌で見る三澄とは違う。きっとこれは、素顔で、そのままの笑顔だ。
里依は右手で、三澄の長袖のシャツの腕のところをつまんだ。ぐいっとは引けない。そこまでの勇気はない。
「…ごめんなさい、図々しくて。でもやっぱり…私もまだ、…叶うなら…三澄さんとお話ししたいです。」
真っ直ぐに気持ちを受け取って、それを見つめ返すこと。それが里依にはひどく困難なものに思える。でも、向き合いたいと今は思う。
「うん。たくさん話そう。LINEもいいけど、やっぱり電話したいな。」
「こっ…声を聞くチャンスがあるんですか…!?」
「うん。俺にも里依さんの声を聞くチャンスをちょうだい?」
「わ…私の声は大したことありませんが…三澄さんの声はその…レアというか…!」
「そう?今だって全然、『朋希くん』の声じゃなくない?普通の俺の声はその辺の人と同じだよ。」
「そんなことは絶対ないです!」
「なんで~?今日ずっと、普通に話してたでしょ?」
「それはその…そうなんですけど…。」
三澄がゆっくりと腕の力を緩めた。二人の間にさっきよりも距離ができる。里依の手を両手でぎゅっと握って、三澄は言葉を続ける。
「今日はね、改めて一緒に過ごして、里依さんはずーっと真面目で、何を選ぶのも一生懸命で、ほんとにずっと、可愛かった。やっぱり好きだなって思ったよ。」
「へっ!?」
里依の頬が熱で赤く染まる。耳がじりじりと熱くなるのを感じる。
「俺ね、やっぱり里依さんのこと、好きだよ。だから里依さんが俺のこと好きだなって思ったら、今日みたいに気持ち、聞かせて?いつでもいいから。別に好きとかそういう気持ちじゃなくても、里依さんの気持ちはいつでも伝えて?」
「…私を…好き…?」
「うん。」
三澄の手の力がぐっと増す。痛くはないけれど、離さないとも言われているような力加減だ。
「声優も普通の人間で、好きになるよ、人を。」