ファンは恋をしないのです
「えっ、あの、何か失礼なことを…。」
「言ってない言ってない。あのさ、緊張するんだろうけど、声が遠いの寂しいから耳に当てて話してほしいな。」
「は、はいっ!頑張ります!」
これからもっと、大きなことを言おうとしているのに、いちいちびびってはいけないと里依は心の中で自分に喝を入れる。スピーカーをオフにして、里依は耳にスマートフォンをあてた。
「それで、里依さん、何か話があったんだよね?どうしたの?」
三澄の穏やかな声に背中を押されて、喉元でつかえて出てこない言葉がゆっくりと里依の唇を滑り落ちてくる。
「あの…三澄さんのお休みのときに、もしお時間があったらその…以前車も運転してくださいましたし、お家にも呼んでいただいたので…あの…本当にご迷惑でなければでいいんですけど…家に、来ませんか?」
「え…いいの…?」
「は、はいっ!外よりも目立つ危険性が少ないかなと思いますし、あと、ご飯も作ります!プロ級というわけではありませんが、数々のお礼に…どう、でしょうか?」
少しの沈黙のあと、三澄の柔らかくて優しい声が里依の耳を揺らし始める。
「里依さんの家に呼んでもらって、しかも里依さんがご飯作ってくれるの?」
「あっ、ピザとかとりたければそういうのでも大丈夫です!ご馳走します!」
「ピザなんていつでも食べれるよ。…それよりも里依さんが作ってくれるものが食べたい。」
「わ、わかりました!お任せください!頑張ります。」
「そんなに頑張りすぎなくて大丈夫だよ。…でも、突然どうしたの?何かあった?」
心配してくれる時の声に、里依はぐっと左手を握った。
「…気持ちを話したくなったんです。聞いて、いただきたいことが…あって。それは電話じゃなくて、直接会って、お話したいって…あの、思っていて。ただその…上手に言える自信はないんですけど…でも、三澄さんが真っ直ぐ伝えてくれたことに見合う私でありたいので…時間がかかってしまうかもしれないんですけど、大丈夫…ですか?」
「うん、大丈夫。」
即答だった。クリアな三澄の声に、里依の視界が滲んだ。誰かに言葉を受け止めてもらえるということは、嬉しい。相手が三澄だから尚更だ。
「時間がかかるってことは、長く一緒に居れるってことでしょ?…嬉しいな。」
「…いつも、たくさんお待たせしてて…ごめんなさい。」
「ふふ、ううん、全然。あー…電話なのがちょっと惜しい、今。」
「惜しい…ですか?」
「うん。だって今、一生懸命でしょ、里依さん。頑張ってるんだろうなって思ったら、可愛くて。つい笑っちゃった。一生懸命話してるのにごめんね。」
「い、いえっ!だ、大丈夫です。今日のミッションは、…終わり、です。」
「うん。任務遂行!予定、見るね。いつにしよっか。」
一歩、進めた。自分の意志で、小さな一歩かもしれないけれど。そのことが里依の胸にじわりと温かく広がって、里依は小さくガッツポーズをした。
「言ってない言ってない。あのさ、緊張するんだろうけど、声が遠いの寂しいから耳に当てて話してほしいな。」
「は、はいっ!頑張ります!」
これからもっと、大きなことを言おうとしているのに、いちいちびびってはいけないと里依は心の中で自分に喝を入れる。スピーカーをオフにして、里依は耳にスマートフォンをあてた。
「それで、里依さん、何か話があったんだよね?どうしたの?」
三澄の穏やかな声に背中を押されて、喉元でつかえて出てこない言葉がゆっくりと里依の唇を滑り落ちてくる。
「あの…三澄さんのお休みのときに、もしお時間があったらその…以前車も運転してくださいましたし、お家にも呼んでいただいたので…あの…本当にご迷惑でなければでいいんですけど…家に、来ませんか?」
「え…いいの…?」
「は、はいっ!外よりも目立つ危険性が少ないかなと思いますし、あと、ご飯も作ります!プロ級というわけではありませんが、数々のお礼に…どう、でしょうか?」
少しの沈黙のあと、三澄の柔らかくて優しい声が里依の耳を揺らし始める。
「里依さんの家に呼んでもらって、しかも里依さんがご飯作ってくれるの?」
「あっ、ピザとかとりたければそういうのでも大丈夫です!ご馳走します!」
「ピザなんていつでも食べれるよ。…それよりも里依さんが作ってくれるものが食べたい。」
「わ、わかりました!お任せください!頑張ります。」
「そんなに頑張りすぎなくて大丈夫だよ。…でも、突然どうしたの?何かあった?」
心配してくれる時の声に、里依はぐっと左手を握った。
「…気持ちを話したくなったんです。聞いて、いただきたいことが…あって。それは電話じゃなくて、直接会って、お話したいって…あの、思っていて。ただその…上手に言える自信はないんですけど…でも、三澄さんが真っ直ぐ伝えてくれたことに見合う私でありたいので…時間がかかってしまうかもしれないんですけど、大丈夫…ですか?」
「うん、大丈夫。」
即答だった。クリアな三澄の声に、里依の視界が滲んだ。誰かに言葉を受け止めてもらえるということは、嬉しい。相手が三澄だから尚更だ。
「時間がかかるってことは、長く一緒に居れるってことでしょ?…嬉しいな。」
「…いつも、たくさんお待たせしてて…ごめんなさい。」
「ふふ、ううん、全然。あー…電話なのがちょっと惜しい、今。」
「惜しい…ですか?」
「うん。だって今、一生懸命でしょ、里依さん。頑張ってるんだろうなって思ったら、可愛くて。つい笑っちゃった。一生懸命話してるのにごめんね。」
「い、いえっ!だ、大丈夫です。今日のミッションは、…終わり、です。」
「うん。任務遂行!予定、見るね。いつにしよっか。」
一歩、進めた。自分の意志で、小さな一歩かもしれないけれど。そのことが里依の胸にじわりと温かく広がって、里依は小さくガッツポーズをした。