ファンは恋をしないのです
里依はおずおずと目を開けて、少し視線を上に向けた。やはり思っていた通りに近くて、それこそ吐息が触れ合うような距離に、一気に顔の熱が高まった。
「里依さん。」
「な…なんでしょうかっ…。」
「抱きしめても、いい?」
優しい問いかけが耳に甘く響いた。いつだって三澄は、里依優先だ。里依の表情を見て、そして里依の言葉を聞いて考えて、里依が困らないようにと行動に移してくれる。何をするにも三澄が先にやってくれる。だが、今日の里依は一味違う自分になりたくて、三澄を呼んだのだ。だからここでは、里依から動きたい。そんな気持ちが、里依の唇を動かした。
「えっと…あっ!三澄さん、立ってもらってもいいですか?」
「ん?うん、いいよ。」
正座をしたままだった里依は、テーブルに手をついてゆっくりと立ち上がった。三澄も立ち上がり、里依の前に立つ。今までの二人の距離がそこにはあった。里依は少しずつその距離を詰める。
「里依さ…。」
いつもであれば里依の方から近付くことなどないため、戸惑った三澄が里依の名を呼ぼうとした。しかし最後まで言えなかったのは、里依が三澄の体をそっと抱きしめたからだった。三澄の腕の上から回した里依の手は、長さが足りずに三澄のように背中ごとまるっと抱きしめることはできなかった。里依は回した腕にゆっくりと力を込める。
「いつも、三澄さんに先にしてもらうことが多いから、私も…負けたくないです。」
三澄の肩に頬をつける。すると、ほのかに三澄の香りが鼻をくすぐった。最初はあんなに緊張していた香りが、今は緊張だけではない感情も里依の中に生み出しているのだから不思議だ。
「っと…す、すみません…!足が痺れてっ…!」
ぎゅっと抱きしめること、言いたいこと、その2点に集中していたため気付かなかったが、里依の足はじんじんと痺れていた。三澄の方に体重が傾き、上半身だけ寄りかかるという妙な体勢になってしまった。恥ずかしさでかあっと顔が熱くなる。そんな里依を見て、三澄はクスッと笑った。
「…里依さん、ちょっとだけ、腕、離してもらってもいい?すぐまた腕、回してね?」
「…?は、はい。」
里依が腕を離すと、今度は三澄の腕が里依を捉えた。前にしてもらった時のように、温かい体温が里依の全身を包んだ。
「里依さん。」
「な…なんでしょうかっ…。」
「抱きしめても、いい?」
優しい問いかけが耳に甘く響いた。いつだって三澄は、里依優先だ。里依の表情を見て、そして里依の言葉を聞いて考えて、里依が困らないようにと行動に移してくれる。何をするにも三澄が先にやってくれる。だが、今日の里依は一味違う自分になりたくて、三澄を呼んだのだ。だからここでは、里依から動きたい。そんな気持ちが、里依の唇を動かした。
「えっと…あっ!三澄さん、立ってもらってもいいですか?」
「ん?うん、いいよ。」
正座をしたままだった里依は、テーブルに手をついてゆっくりと立ち上がった。三澄も立ち上がり、里依の前に立つ。今までの二人の距離がそこにはあった。里依は少しずつその距離を詰める。
「里依さ…。」
いつもであれば里依の方から近付くことなどないため、戸惑った三澄が里依の名を呼ぼうとした。しかし最後まで言えなかったのは、里依が三澄の体をそっと抱きしめたからだった。三澄の腕の上から回した里依の手は、長さが足りずに三澄のように背中ごとまるっと抱きしめることはできなかった。里依は回した腕にゆっくりと力を込める。
「いつも、三澄さんに先にしてもらうことが多いから、私も…負けたくないです。」
三澄の肩に頬をつける。すると、ほのかに三澄の香りが鼻をくすぐった。最初はあんなに緊張していた香りが、今は緊張だけではない感情も里依の中に生み出しているのだから不思議だ。
「っと…す、すみません…!足が痺れてっ…!」
ぎゅっと抱きしめること、言いたいこと、その2点に集中していたため気付かなかったが、里依の足はじんじんと痺れていた。三澄の方に体重が傾き、上半身だけ寄りかかるという妙な体勢になってしまった。恥ずかしさでかあっと顔が熱くなる。そんな里依を見て、三澄はクスッと笑った。
「…里依さん、ちょっとだけ、腕、離してもらってもいい?すぐまた腕、回してね?」
「…?は、はい。」
里依が腕を離すと、今度は三澄の腕が里依を捉えた。前にしてもらった時のように、温かい体温が里依の全身を包んだ。