低温を綴じて、なおさないで



𓇠



昔から手に入れられないもの、できないことなんて、なかった。


かわいく要領良く生きて、褒められて、愛情いっぱいもらって育った。



お父さんお母さんと同じくらい、すきをくれて愛してくれるひとじゃないといやだったから、大学生になるまで恋人という存在ができたことはなかった。




私だけを見つめてくれる王子様、そろそろ現れるって思ってたから。


出会ってしまったの、運命のひと。

“彼”が私の王子様だって、思いたかった。




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