低温を綴じて、なおさないで



「私がわるいの、栞はわるくない」、「そんなことない、わたしのほうがわるいの」なんて、ふたりで自分がわるいって言い合って、埒があかなくて、しばらくして涙が笑みに変わった。


その茉耶の笑顔を奪ってしまうような嘘をついてごめんね、やっぱり茉耶は笑顔が世界一似合うよ。



おかしいね、わたしたち、お互いに嘘をついて、お互い自分がわるいって押し潰されそうになって、謝りあって。


それでいて、仲直りしたいって思ってて、言い出せずに時間が経って。



もう、ぜんぶリセットだ。お互い謝りあった末に、やっぱりこの縁は切りたくなかったから。


だってわたし、茉耶に会うまで基本ひとりで行動していたのに、茉耶と出会ってからずっと隣に茉耶がいるようになっちゃったんだから。



友人という存在にあまり執着がなくて、直だけいればいいって思っていたけれど、わたしの世界、いつの間にか茉耶も必要不可欠になっていたの。




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