低温を綴じて、なおさないで
お互いに、なぜ嘘をついたかなんて言わなかった。なんとなくわかっていたっていうのもあるけれど、それが必要だとは思わなかったから。
お互いわるいと思っていて、仲直りしたくて、謝ることができて、関係が修復できるなら、いまはそれでいいと思う。
何年かしたら、答え合わせできたらいいんじゃないって思うのはお気楽思考すぎるのかな。そんなお気楽を肯定してくれるようなやさしいココアが染み渡る。
「でさ。それで、よ。辛気臭い顔はここまでよ。どうなの、直くんとは」
「……あ。えっと……」
「わかってるんだからねー! ふたりがこそこそ密会してたの」
「み、密会っていうか、習慣というか……」
「なにそれー!詳しく聞かせてよ!」