低温を綴じて、なおさないで
柵を越えてブランコの前。マフラーで口元が隠れているのに、息が白くかたちづくられる。愛おしいきみの、名前を口にする。
持っていた180mlのペットボトルを渡せば、お返しみたいに逆に直からも手のひらサイズの長方形を受け取ってしまった。
「カイロ。寒いし、使ってよ」
受け取ったカイロはやさしさだけで構成されていて、かじかんだ指先はつめたくたって心はすぐはあったかくなった。
「でも栞がくれたお茶もあったかいからいらなかったかな」
「そんなことない。その気持ちがうれしい」