低温を綴じて、なおさないで
やっぱりどうしたってやさしくて、それがわたしだけに向けばいいと、願っている。冬の21時のつめたさが、嘘みたいに感じられない。
ぴり、とビニールを開けて、まだ温かさのないカイロを握りしめる。ほんとうは、きみの手を、わたしよりずっとつめたい低温のきみの手を握りしめたいのだけど。
まだわたしたちは“幼なじみ”だから。関係を変える準備は、してきたから。
「直、わたしから話してもいい?」
「うん、もちろん」
となりのブランコに腰掛けて、いつもはチェーンを握るけれど、金属のつめたさが突き刺さったから膝の上でお茶とカイロでひんやりを逃す。
ちらりと視線を移してみたら、暗い中でもしっかりわかるくらい絡まって、心拍数がはやまった。気づかれないように慌てて視線を戻した。
吐いた息が、吹き出しのようにぽわぽわと浮いて逃げてゆく。星が瞬く紺色の夜空と白い吐息が冬を実感させる。二酸化炭素と一緒に、勝手に気持ちが出ていってしまいそうだ。