低温を綴じて、なおさないで
ぎゅっとカイロを握りしめて、じんわりと温もりを手のひらに伝染させる。直からもらったやさしさが、身体中を巡ってゆく。
「……ずっと、直がわたしだけを見てくれたらいいのにって思ってた。ううん、今も思ってる」
いつもはブランコを意味もなく揺らしてみるけれど、今日はこのまま揺らさず、スニーカーを宙に浮かさない。
ずっと抱き続けて奥底に押し込めていた醜い独占欲を言葉にすると、心臓をぎゅっと押しつぶされている感覚になった。この身勝手な独占欲のせいで、茉耶にも酷い嘘をついたのだから。
こんな独占欲、ほんとうは捨てたくて失くしたかったのに、消えてほしくなかった。矛盾し続けて、綴じた低温とともに居座り続けていた。