低温を綴じて、なおさないで



「こんなふうに独占欲を抱いてしまう理由を考えたくなくて、“幼なじみ”だからって思い込むようにした」




わたしが一方的に話し続けている。直はどんな表情で聞いているのだろう。


あの日、きっと直もわたしと同じ想いを抱いてくれていると確信したからこうして話しているけれど、もし勘違いだったら、なんてすこしだけ不安になった。


でも今さらそんな不安、すぐに消える。それ以上に、伝えたい気持ちが膨らみすぎたから。




「直、わたしと同じ髪型の子ばかり彼女にするわりに、わたしのこと彼女にはしてくれなかった。でもすぐに別れちゃうから、彼女になれなくてもこんなにそばにいられるなら、ただの幼なじみでよかったの」




思い込むようにしてた。わたしじゃ直の特別な女の子にはなれなくて、あくまでも家族に近い特別しかもらえないって。


「栞」とそのとき初めて直がわたしの名前を呼んだ。すこし低いのに心地が良い、だいすきなひとのだいすきな声。


その声で、わたし以外の女の子の名前、呼ばないでほしかった。そんなことはずっと、言えなかった。




「でももう、自分の気持ち、閉じ込めたくない。もう、やだよ」


「──栞、」




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