低温を綴じて、なおさないで
唇が重なって目を閉じたら、幸せな涙がこぼれ落ちた。幼なじみだって思い込むのとは裏腹に、何度かこうして距離をゼロにしてしまったことはあった。わたしも直も、幼なじみの距離を保てなくなったことが、あった。
けれど今は、はじめてのキスみたいに身体中に熱がともって、心臓のリズムが速くなってゆく。
「ほんとに好きすぎて可愛すぎて、困る」
「……わたしは直があまくて、こまる」
「通常運転のつもりなんだけどな」
好き、とまたわたしに落として、溶けてしまいそうなキスが降ってくる。
わたしたちをずっと見守ってくれていた星空がきらきら輝いていた。もうこの空の下で直と会うことはないかもしれない。幼なじみを超えないための配慮と遠慮は、なくていいから。