低温を綴じて、なおさないで
突如として、なんの脈絡もなく聞かれたその問いに、目を見開くことしかできなくて、わたしはなんて答えたのかわからない。
言葉をうまく作れず、取り繕うようなことを言っただろうか。それすら、わからない。
なんで茉耶は今このタイミングでこんなことを聞いたのかも、わからない。
──「栞はさ、そーいうこと、だけの関係、どう思う?」
すぐに「なんでもない、忘れて!」と誤魔化すように笑顔をはりつけた茉耶だけど、わたしにはその言葉がすこしだけ、針のようにちくりと刺さった。
──どう思う、なんて、継続的な関係でないとしても、継続的であったとしても、わたしはそういう関係を否定できない立場にいると、思う。
たった一度の、触れた唇。綴じた低温。出てこないように仕舞い込んで閉じ込めた甘さ。
──結局わたしはただひとり、きみのことで頭がいっぱいになってしまうんだ。