低温を綴じて、なおさないで



⋆。☁︎︎




いくらか日が過ぎて11月半ば。季節はずれの花火をしよう、と約束の日。


もう空は真っ暗で、街灯に依存する時間の増えた4限終わり。星と月が主役として舞台に立つことが多い季節。



お互いに4限までコマが埋まっていたわたしたちの今回の待ち合わせ場所は大学の駐車場。車で通学している葉月くんとそのまま花火のために海に行こうという話になったのだ。



大学内で葉月くんと会うのは、呼んでくれた日とこの間たまたま会った日くらいだからまだすこし緊張する。


それに周りの目もちょっと痛いから、やっぱり今度からは大学外での待ち合わせにしようと決意。月に誓って心に決めた。



今日はしっかり遅れずに、同じくらいのタイミングで駐車場に到着した。手を振りながら笑って「お待たせ」と言い合えたことに安心して、胸を撫で下ろす。



周りから向けられている刺々しい視線だけがちくりちくりと刺さる。



その居心地のわるさから逃げるようにすぐに乗り込んだ葉月くんの車はいつだって綺麗に掃除されていて清潔で、乗っていて居心地が良い。






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