低温を綴じて、なおさないで




ドライブがすきな葉月くんチョイスの秋冬プレイリスト。おしゃれなメロディーが多くてさすが葉月くんだと、彼を助手席からこっそりのぞく。



バレないつもりだったのに、運転する横顔があまりにも綺麗で整っていて思わず見惚れてしまった。



葉月くんの視界のはしっこにわたしが映ったのか、「どうしたの? 栞ちゃん」とやさしく投げかけられたので「なんでもない」と見惚れてしまったことは秘密にした。



乗り心地の良い安全運転でしばらく車が走って到着した海。花火どころか、当たり前にわたしたち以外に人はいなくて、この世界はわたしたちだけのものなんじゃないかと夢みたいで子どもみたいなことを思った。



街中より気温が低くて風が冷たいそこでくしゃみをしてしまったから、葉月くんが自分の着ていたジャケットを貸してくれた。あったかい温もりがきもちよかった。




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