低温を綴じて、なおさないで
葉月くんの右手がわたしの耳から頬にかけてを包み込むように触れた。自然と彼のほうへ向いた顔は、どう映っているだろうか。
大きな手のせいで逃れられない視線に、じわじわと熱が集まっていく。
「耳まで真っ赤だよ」
「み、見えてないくせに、」
「はは、見えてるよ。本当にかわいーね、栞ちゃん」
足の上に置いていた右手に触れた。そこからも熱が伝染していくかのようにじわりと溶けていく。いつかのように絡んで、体温が重なる。前髪が揺れて、ゆっくりと距離が近づく。
……この状況、雰囲気で断れるほど、わたしは強くない。よくない、流されたらだめ。わかっているのに、身体が言うことを聞いてくれなくて硬直して。