恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる

 週明けの月曜日。なんとなくいつもより緊張しながら、浜松町のパンドラパントリー本社へ出勤した。

 ガラス張りで都会的なデザインの高層ビルの中には、オフィスだけでなく飲食店やコンビニ、銀行の窓口まであるのでとても便利だ。

 営業部があるのは十二階で、壁のない開放的なフロアで国内営業部と海外営業部が一緒に仕事をしている。

 個人のデスクは一応それぞれの部署で島に分かれているものの、自由に利用できるオープンスペースに部署の区別はない。

 個人的には自分のデスクより集中できるので、朝のメールチェックはそこで済ませるのが習慣だ。

 しかし、オフィスに入った瞬間、目的の場所に多くの人が集まっているのが目に入ってぎょっとする。営業部はどちらかというと男性社員の割合が多いのに、なぜか女性の姿ばかりだ。

「アメリカワイン、未経験なので飲んでみたいです~。真城さんのおススメは?」
「有名なのはカリフォルニアワインだけど、オレゴン州のピノ・ノワールを使ったものなんかはとても香りがよかったよ。いくつかのワイナリーと契約を結んできた」

 人垣の中央にいるのは、ニューヨーク支社から帰還したエリート社員・真城さんだった。

 予想はしていたけれど、帰国するなり女性社員たちの興味を一手に集めているようだ。

 そういえば彼がまだ日本にいた頃も、色々女性たちが噂していたっけ。

 彼の父親は不動産会社の経営者で年商何億とか、身に着けているブランドもののスーツのバリエーションが多彩なうえ、どれもセンスがいいとか。

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