恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる
生まれつきの容姿に恵まれているうえ家柄もしっかりしていて、かといって親の七光りという感じでもない。
総じて真城さんには女性を喜ばせる要素しかないのだ。
とはいえ真城さんにモテる自分を鼻にかけた雰囲気はなく、彼女たちの質問にも親切に答えている。
「東京でも飲めるお店ってあるんでしょうか? せっかくなら真城さんの帰国祝いに、みんなでワイン飲みに行きましょうよ」
「そうだな。探せばあると思うから、後で店をリサーチしておくよ」
「ありがとうございます~! ちなみに英会話の勉強はどうされてたんですか? 真城さんが帰ってきたら教えてもらおうって、みんなで楽しみにしてて」
真城さんは優しげな愛想笑いを続けつつ、ちらりと腕時計に視線を走らせる。帰国したばかりの彼は取引先回りの件数もきっと多いに違いない。
あまり無駄話をしている暇はないのだろうが、さすがの彼でも女性集団の圧には弱いのか、それとも久々に会う同僚たちを無下にはできないのか、話を切り上げるタイミングを見失っているみたいだ。
優しい性格なのは結構だけれど、仕事の話とはずれているみたいだし、いつまでもそこに大勢でいられるのも困る。
うるさい奴だと思われるのを承知で、私はつかつかと彼らのもとへ歩み寄った。