恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる
デンマークに到着したのは現地時間の夕方六時頃だった。
ホテルに荷物を預けた後、レストランで夕食を食べながら明日以降の打ち合わせをした後は、それぞれの部屋に帰って体を休める。
翌朝、六時頃に目が覚めると、スマホに友人からのメッセージが一件届いていた。
【今度、いつ会える? 昴矢が当日じゃダメって言うから、ちゃんと前もって連絡してみた】
差出人の名は、武井那美。思わず眉間にしわが寄り、ため息がこぼれた。
七時間の時差がある日本は午後一時頃。仕事の昼休憩にでも連絡してきたのかもしれない。
【今出張でデンマークにいるから、帰国したらこっちから連絡する】
【帰国はいつ? 一刻も早く相談したいことがあるの】
こちらの都合はお構いなしの自分本位なところは、昔から変わらない。那美は家庭環境が少し特殊なため、親しい人には少し依存傾向にあるのだ。
彼女とは、俺ともうひとりの友人である井原翔真を介し、三人でよく行動を共にしていた幼馴染のようなものである。
翔真と那美は中学生の頃から交際しているのだが、彼らはなにかにつけてすぐ喧嘩をする。
俺は昔からその仲裁役になることが多かったが、那美は喧嘩のたびに友人を嫉妬させようと俺に気があるそぶりにするから厄介だ。