恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる
彼とは別れた後も国内営業部の同じチームで仕事をしているためやりづらくて仕方がないが、私は仕事に個人的な感情を挟んだことは一度もない。
しかし彼の方は、こうして話しかけるだけであからさまに嫌な顔をする。
私がプロジェクトのリーダーという役職を与えられた時も、すれ違いざまに『男より仕事って感じだもんな』と嫌味を言われた。
彼の本性を見抜けずに付き合っていた自分も浅はかだったと思うけれど、いちいち気にしていたら身が持たない。
彼の言うように私はたくましいのだと虚勢を張って、嫌味は受け流すことにした。
「新しく取引先になってくれそうなレストランからメールがあったんです。文面を見る限りかなり前向きな感触で、できれば色々な種類をお勧めしたいので、当日試飲会の補助をお願いできますか? 資料は私が用意しますので」
「補助ねぇ……。先輩を顎で使うとは、ホントにえらくなったもんだな。そこまでして営業成績を上げたい貪欲さには恐れ入るよ」
あからさまな皮肉を言う針ヶ谷さんに、愛想笑いが引きつる。
しかし、言い返してわざわざ自分まで同じレベルに堕ちることはない。見ている人はきっと見ているだろうし、彼のような人はいずれ淘汰される。