恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる

「そのうち、翔真が那美のことを好きなのは気づいてたから、中学の時に告白をけしかけた。一応うまくいったけど、ふたりともどうも喧嘩っ早くて、ちょっとしたことでくっついたり離れたりを繰り返してるんだ」
「中学から……! それはすごいですね」
「で、俺はいつも仲裁役。那美のヤツ、翔真に嫉妬させようとして昔からわざと俺に気があるふりをするんだ。本当は俺のこと男とも思っていないくせに」

 彼の自嘲に切ない感情が滲んでいる気がして、胸がズキッとする。

 今はともかく、昔は彼も那美さんのことが好きだったんじゃ……?

「じゃあ、もしかして昴矢さんに〝いい人〟の呪いをかけたのは那美さん……?」

 恋人の翔真さんとケンカするたびに昴矢さんを頼り、気があるそぶりをするのに結局翔真さんのもとへ戻っていく。

 好きな相手にそんなことをされたら、心に深い傷が残っても当然だ。

「いや、そのことと那美は直接関係ないよ。ただ、俺も俺でそれなりに恋ってやつを経験するうち、ショックを受けることが多くて。背が高いとか、勉強ができるとか、みんなそういうのに釣られて興味を持ってくれるらしいんだけど、付き合ってみたら結局なにか足りないらしい。〝いい人すぎる〟っていう、どこが悪なのか謎すぎる理由でフラれる。その一方で、幼馴染の那美には優しさを利用され続ける。なんかもう、俺は誰からも本気になってもらえないんだなって。だから、ひたすら仕事に逃げてた」

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