恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる
髪を丁寧に乾かした後、リビングの彼のもとへ戻る。
「おかえり」
そう言ってこちらを振り返った彼が、一瞬真顔になって、天井を仰ぐ。
それからもう一度私を目に映すと、感じ入ったように目を閉じた。
「……天使」
今、天使って言った? 白いTシャツがそれっぽいってこと?
「ちょっともう、ダメだ。おいで」
まさかのダメ出し……?
なぜか厳しい顔をした彼に手招きされ、軽くショックを受ける。
おずおず彼のいるソファに歩み寄り、隣に腰かける。
「そっちじゃなくて」
「きゃっ」
ぐいっと手を引かれて、彼の胸に倒れ込む。この体勢……雷の夜に抱きしめてもらったあの時と似ている。ただ、あの時とは私たちの関係が形を変えた。
もう抱き合うのに理由は必要なく、ただその幸せに浸っていればいい。
「あー……かわいすぎて今すぐ抱きたい」
「えっ?」
「嘘。でも、それくらい破壊力抜群ってことだ。……キスしていい?」
私を腕の中に閉じ込めた昴矢さんが、甘えた目で尋ねてくる。ちゃんと許可を得ようとしてくれるところが彼らしい。答える方は恥ずかしいけれど。
「……はい」
返事をして、目を閉じる。唇がふわりと優しく重なった。
けれどすぐに離れていき、昴矢さんが至近距離で私の瞳を覗く。