恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる
「じゃ、いいだろ。別になにも悪いことをしているわけじゃないんだ。噂したい奴にはさせておけばいい」
「……そうですね」
さっぱりした彼の考え方には同意した。
たとえば私と真城さんが本当に付き合っていたとしても、外野に口を出される筋合いはない。それくらいで騒ぐ人たちの方が幼稚なのだ。
しばらくすると予約専用のコース料理が始まり、前菜のシュリンプカクテルが運ばれてくる。
店のソムリエがペアリングしてくれたスパークリングワインが全員分揃ったところで、部長が簡単に日頃の皆を労う挨拶をして、食事が始まった。
「おいしい……!」
色鮮やかで弾力のある海老とカクテルソース、そして辛口のスパークリングワインの相性は抜群だった。これからの料理もなお楽しみになる。
「ワインによく合うよな」
「はい。それに海老って元々大好きなんです。こんなにひとり占めして食べられるなんて幸せだな……」
ひとり占めと言っても前菜だからそれほど量は多くないが、幼い頃は弟たちと奪い合うようにして食事をしなければならなかったから、毎食が戦いだった。
特に海老は姉弟全員の好物だったから、海老フライでも海老チリでも、よそ見をしていたらすぐになくなってしまう。