恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる
姉弟のことを聞かれただけだったのに、余計な話をしてしまったようだ。
仕事で横浜を訪れたあの夜に腹を割って話したせいか、真城さんの前ではつい気が緩んでしまうみたいだ。
前菜の次にはサラダが運ばれてきて、今度は色鮮やかなロゼワインがグラスに満たされた。
沈黙を埋めるようにワインばかり傾けていると、アルコールが回って来たのか頬が熱くなってくる。その熱を手のひらで冷ましながら、もそもそとサラダを口に運ぶ。
「神崎さん」
「はい」
「俺には遠慮なく甘えていいし、頼ってほしい」
「えっ?」
声に反応して横を向くと、真城さんのまっすぐな眼差しに射貫かれる。
仕事の話……だよね。一瞬勘違いしそうになってしまった。
これくらいでドキッとするなんて、男性への免疫力低下もいいかげん笑えないレベルに到達しているようだ。
「ありがとうございます。でも、今でさえ真城さんに頼ることが多いので、もう少し自分ひとりで色々な判断ができるようになりたいです。真城さんの足を引っ張りたくありませんし」
「そう言ってきみはなんでもひとりで抱えようとするだろ。俺たちは仲間なんだから困ったときはもっと――」
段々と声が大きくなってきた真城さんをぽかんと見ていたら、彼がハッと我に返る。
それから少し顔を赤らめ、口元を手で覆った。