恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる
「ありがとう。しかしこういうの、安請け合いするもんじゃないな。いくらネットの評判がよくても実際どうか心配だったから、何軒かには実際に足を運んで料理を食べたりもしたから、けっこう疲れたよ」
それはなんとも優しすぎるというか、律儀すぎるというか……。
でも、営業部のみんなを喜ばせたくてあちこち駆けまわる真城さんを想像すると、胸がほっこりした。
「真城さんって、本当にいい人ですよね」
「神崎さん、それ禁句」
「えっ?」
「言っただろ、これまでいい人止まりで本気にされてこなかったんだって。……でも、いい加減そんな自分から脱却したいと思ってるんだ。本気で好きな相手を手に入れるためなら、悪い男になることも辞さないよ」
そう言って、くいっと赤ワインのグラスを傾ける真城さん。
さっきまでは確かに〝いい人〟の顔をしていたのに、伏し目がちな横顔や骨ばった喉仏が上下する様に、急に大人の男性の色香を感じて思わず目を逸らす。
急にそういうギャップ出さないでほしい……。
動揺をごまかすためにワインに逃げていたら、ふいに女性ものの香水の匂いが鼻をかすめた。
「真城さぁん、そろそろこっちにも来てくださいよ~。みんな真城さんの話を聞きたがってるんです」
「え? ああ……」